6人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれ、おかしいな…。」
「どうした?律樹。」
律樹は千暁の家に遊びに来ていた。
携帯を手に、うんうんと唸っていた律樹の顔を、千暁が覗き込む。
「いや、花菜に連絡したら、あいつ、電波でも悪いところにいるのか、返事が返ってこなくなってよ。
せっかく俺が連絡してやったって言うのに。」
律樹が言った時、千暁は目を瞬かせていた。
「………はな?誰だ。それは。」
「え?流石に冗談キツイって。
千暁だってこの前会っただろ。
花菜は俺の………あれ?」
千暁と律樹が、怪訝そうに顔を見合わせた時だった。
「何してるの?千暁くん、律樹くん。」
そう問いかけてきた勇人に、二人の目線は移る。
「勇人、それが律樹と何の話をしていたか思い出せなくてな。」
「そうそう、丁度、お前が話しかけて来やがったからなおさらな。」
「俺のせい!?も、もう!ひどいよ!
いくら律樹くんだって、さすがに俺も許せないんだからな!」
「落ち着け、勇人。
ほら、せっかくのご馳走もあるんだ。な?」
涙目で律樹を睨む勇人を千暁が慌てて止める。
律樹が仕方なさそうに渋々謝る。
「あー、勇人、悪かったって。俺が言い過ぎた。」
「も、もう…っ!」
「それで、律樹、さっきは何の話をしていたっけ…?」
「………さあ?まあ、忘れるくらいだし、大した話じゃねーだろ。
それより、お前のお母さんが作ってくれたご馳走でも食べよーぜ。俺、腹減った。」
「お前も少しは遠慮というものをだな…まあ、良いか…。」
三人は千暁の家で、お盆を過ごしたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!