お盆

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 「あれ、おかしいな…。」  「どうした?律樹(りつき)。」  律樹(りつき)は千暁の家に遊びに来ていた。 携帯を手に、うんうんと唸っていた律樹(りつき)の顔を、千暁(ちあき)が覗き込む。  「いや、花菜(かな)に連絡したら、あいつ、電波でも悪いところにいるのか、返事が返ってこなくなってよ。 せっかく俺が連絡してやったって言うのに。」  律樹(りつき)が言った時、千暁は目を(またた)かせていた。  「………はな?誰だ。それは。」  「え?流石(さすが)に冗談キツイって。 千暁だってこの前会っただろ。 花菜(かな)は俺の………あれ?」  千暁と律樹(りつき)が、怪訝(けげん)そうに顔を見合わせた時だった。  「何してるの?千暁くん、律樹(りつき)くん。」  そう問いかけてきた勇人に、二人の目線は移る。  「勇人、それが律樹(りつき)と何の話をしていたか思い出せなくてな。」  「そうそう、丁度(ちょうど)、お前が話しかけて来やがったからなおさらな。」  「俺のせい!?も、もう!ひどいよ! いくら律樹(りつき)くんだって、さすがに俺も許せないんだからな!」  「落ち着け、勇人。 ほら、せっかくのご馳走(ちそう)もあるんだ。な?」  涙目で律樹(りつき)を睨む勇人を千暁が慌てて止める。 律樹(りつき)が仕方なさそうに渋々謝る。  「あー、勇人、悪かったって。俺が言い過ぎた。」  「も、もう…っ!」  「それで、律樹(りつき)、さっきは何の話をしていたっけ…?」  「………さあ?まあ、忘れるくらいだし、大した話じゃねーだろ。 それより、お前のお母さんが作ってくれたご馳走(ちそう)でも食べよーぜ。俺、腹減った。」  「お前も少しは遠慮というものをだな…まあ、良いか…。」  三人は千暁の家で、お盆を過ごしたのであった。
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