5.サイボーグ消防士 出動!

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 階段横のドアを開けた。そこは納戸で、人の姿は無い。  奥のドアを開けた。タンスが倒れていた。 「家具が乱れている、2階まで爆発の衝撃で揺れたようだ」  タンスの下に人がいると気づいた。 「要救助者を発見した」  報告して、タンスを持ち上げる。機械の腕力で、一気にひっくり返した。  女性である。体にかかるタンスの重みが無くなり、大きく息をする。が、部屋に満ちた煙を吸い込む事になった。  路傍は左大腿部のホルダーを開いた。酸素マスクを出した。  マスクのチューブが路傍につながっている。酸素は十分にある。 「大丈夫、ゆっくり息をして」  マスクを女性の顔にあて、両手をマスクに導いた。むせながらも、自力で息をする。タンスの圧迫で、煙を吸わなかったのが幸いしていた。  見上げれば、部屋の天井も温度が100度近い。  ヘルメットが熱くなる。冷却も間に合わなくなってきた。 「脱出する」  路傍は両手で女性を抱えた。足が悪いと聞いていたから、抱いた方が早い。  廊下に出た。煙が床まで充満している。  階段を降りると、1階の廊下は水浸し。玄関の外から放水が来ていた。体感温度が下がる。 「玄関への放水を止めてくれ。出られない」 『了解、伝えます』  友里が答えた。  外にいた消防士が階段の路傍に気づいた。合図して、放水をそらした。  路傍は女性を抱えて、玄関から外に出た。  と、ボウ、大きな音と共に、屋根から炎が噴き出した。火柱が立ち、周囲に火の粉が降り注ぐ。  急げ、と消防士が手招きする。 「この先は、みなさんにお任せだな」  路傍は頷き、小走りに家を離れた。 「やったぞ、さっそくの初手柄だ!」  鐘本はスクリーンに向かって拍手した。 「元がベテランだから、冷静に救助できた。サイボーグでも、新人がベースでは、こうはいかない」  消防管制室に自画自賛の声が響いた。  路傍が女性をストレッチャーに置いた。この先は救急隊員の仕事だ。
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