第一話 真夜中の出会い

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夜八時。お店の開店時間、僕は緊張していた。 「花梨?大丈夫?顔が怖いわよ…。 もしかして…緊張してる?」 マチコさんとランさんが心配そうに僕を見つめている。 僕は首を横に振って笑った。 「大丈夫です。いつもママの接客見てましたから。僕にだって出来るはずです。 ママの子供ですから。」 「そうね。花梨には才能があるわ。 料理上手だしね! 期待してるわ。」 「自分も応援してますよ! 花梨さんなら大丈夫です! それに、うちは常連客がほとんどですからね。 知ってる人ばかりですよ。」 「そうね…。新規のお客さんって滅多に来ないわね…。私的には新しい男に出逢いたいんだけどね…。最近若い男に飢えてるのよね…。 花梨みたいにピチピチの可愛い子が欲しいわ。」 マチコさんは最近彼氏と別れたばかりだった。 同棲していた彼に逃げられたと、この前騒いでいた。僕は恋をした事がないから、マチコさんの気持ちが理解できなかった。 恋ってそんなにいい事なのだろうか? 僕にとっては未知の世界だった。 三人で話していると、店の扉が開き、一人の常連客が入ってきた。 「いらっしゃいませ。 あら、マモルさんじゃない。 久しぶりね。」 「あれ?今日、ママはいないの?」 「そうなのよ…。ミドリさん旅行中なのよ。 今日は私と飲みましょうよ。 おすすめのお酒あるのよ。」 お店に入ってきたのはマモルさんという、サラリーマンの人だった。 いつも、立派なスーツを着こなしている、大人の男性だ。 ママがお店を初めてすぐ位からの常連さんらしく、ママの事が大好きみたいだった。 ちょっとガッカリした顔で、その人はマチコさんと一緒に店の奥のテーブル席に座った。 店にはカウンター席六脚と、テーブル席が 四卓ある。 そこまで広い店ではないが、いつも満席になるほど人気があった。 大体のお客様が、カップルで来店する。 勿論ゲイのカップルだ。
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