第二話 初めての言葉

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僕は、階段を駆け上がって、自分の部屋に閉じこもった。 (何であの人は、突然僕にキスしたんだろう…。 初めて会ったのに…どうして? 僕を見て何か言ってたけど…韓国語だったし… 分からないな…。 どんな顔してたかな? 名前…なんだっけ?本当に…分からない…。) 僕は、ずっと昨日の出来事が忘れられなかった。 名前も覚えてないし、顔だって忘れてしまったのに、キスをされて、その人の事が頭から離れなくなってしまった。 これは怒りなのか、それとも悲しみなのか 分からないけど、ずっと心が騒ついている。 「また、あの人…お店に来るかな?」 (えっ?僕…あの人に会いたいの?何で? どうかしてるよな…。) 僕は、一人で何を考えていたのだろう。 この感情がなんなのか、確かめたいのかもしれない。 僕は、突然立ち上がり、上着とバックを持って部屋を飛び出し、階段を駆け降りた。 そして、お店に飛び出した。 「ママ!僕…大学に行って来る。」 「えっ⁈花梨ちゃん⁈何?どこ?」 「えっ?何?花梨突然どうしたの?」 お店の開店準備をしていた、みんなが騒いでいたけど、僕は気にせず走り出した。 とにかくあの人に会わないと気が済まないと 思った。 (ライト君の大学…。確か近くだったよね? とりあえず、ライト君に電話してみよう。) 僕は、ライト君に電話を掛けた。 呼び出し音がずっと鳴っている。 「もしもし。ライトでーす。 花梨から電話くれるなんて珍しいね。 どうしたの? あっ、ってか昨日大丈夫だった?」 「ライト君今どこ?学校?」 「えっ?あっ、うん。学校だけど?」 「今から会えない?」 「うん。いいけど…。どうした?花梨?」 僕達は、大学の門の前で待ち合わせをした。 僕が大学に着くと門の前で、ライト君が待っていてくれた。 僕はライト君に手を振った。 すると、門の周辺にいた大学生達が僕の方をジロジロ見て来た。 (何?何で僕を見るんだろう? 僕ってもしかして浮いてるのかな? 服装のせい?) 「僕…。どこか、変かな?」 「ん?そんな事ないよ。 花梨は、普通に可愛いよね? その服装も凄く似合ってるよ。」 僕の服は、黒の短いワンピースで、長めの黒いハイソックスを履いていた。 アウターは真っ赤なダッフルコートだった。 髪の色は黒で、毛先だけピンクが入っていて、ちょっとだけ、目立っていたのかもしれない。 急いで家を出て来たせいで、 服のことを考えている余裕がなかった。 「所で、突然どうしたの? 俺に用があって来たんだよね?」 「あっ、うん。 あの…昨日の人の事知りたくて…。 何で、突然あんな事したのかなって… 気になってしまって…。」 「あー、やっぱりそうか…。 そうだよね…なんか昨日はごめんね…。 俺も悪かったよね…。 シウ君の事、ほっとけば良かったのに… 余計な事したかな…。 あれから、大変だったんだよ…。 酔っ払いの相手って疲れるよね…。 あんなの、気にしなくてイイと思うよ。 酔ってて何も覚えてないんじゃないかな? でも、あんな事されたら気になるか…。 もしかして…シウ君に会いたいの?」 「うん…。 僕…実は初めてなんだ…。 だから…頭がおかしくなりそうで…。 何であんな事したのか聞きたい。」 「そっか…。 でも、俺連絡先交換してなくて…。 どうしようか… あっ、俺の友達なら知ってるかも…。 ちょっと待ってて、電話してみるよ。」 ライト君は友達に電話をしてくれた。 そして、あの人の連絡先を教えくれた。 僕はライト君にお礼をして、家に帰ろうと した。 すると、急にライト君が大声を上げた。
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