第一話 真夜中の出会い

5/12
前へ
/57ページ
次へ
僕には三つ上の兄がいた。 名前は信長(のぶなが) 父は昔の武将が好きだった。 名前の通り強い男になって欲しいと願ったんだろうけど、僕は父の理想とはかけ離れた人間だった。 小さいうちから剣道や柔道、空手教室に通わせて、兄を鍛えていた。 兄は期待通り強い男だった。 父の理想とは裏腹に、僕は幼稚園で事件をおこした。 それがきっかけで父は益々厳しくなっていった。 兄と僕への態度は変わっていって、 兄には優しかったのに僕には厳しくなって、何度も何度も手をあげてくるようになった。 それでも、僕の心は変わる事はない。 だって、綺麗なものや可愛いものが好きだったからだ。僕は女の子になりたかった。 ただ、それだけなのに… 僕の事を分かってほしいだけなのに… 誰も僕を理解してはくれなかった。 そして、僕は捨てられたんだ。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加