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夕日が海に沈み始めたので、私は再び歩きだした。
椰子の葉が軽く揺れている。
私は足元に落ちていた小さな貝殻を拾い、そっとポケットにしまった。
何の変哲も無い、ただの貝色をした貝。
これでマリリンは喜んでくれるだろうか?
波音がゆっくりと頭上を過ぎていく。
太陽が完全に海の下に潜ってしまっても、空はまだ穏やかな薔薇色に染まっている。
どこからか”Banana Boat Song”が聞こえてきた。
立ち止まって耳を澄ませば聞こえなくなり、歩き出すとまた聞こえてくる。
私は、私とマリリンとサルとカニとヤドカリのために海に祈った。
マリリンはきっと喜んでくれるだろう。
-了-
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