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「こっちだって事情は一緒さ。これを持って行けなかったせいでマリリンに嫌われたらどうしてくれる?」
『ふん、君達と違ってボク等は真剣なんだ。これはカノジョにプロポーズするのに必要な貝なんだよ』
「失礼なことを言うカニだな。私もその貝を渡してマリリンにプロポーズするつもりさ」
『ウソをつけ。君はマリリンと結婚するつもりなんて無いじゃないか。それにもし君にその気が有ったとしても、彼女の方にその気は無いぜ』
「へぇ。どうしておまえにそんな事がわかるんだい?」
『わかるね。だってそうだろ? もしも彼女にその気があるのなら、貝殻を拾って来いなんて言わないよ。大きな魚を釣って来いと言うはずさ』
「……なるほど。確かにそうかも知れないな」
『さあ、わかったらもうボクを放してくれ。僕等は君達が思ってるほど暇じゃないんだよ』
私は言い負けたのが悔しくて、彼を海の彼方に蹴り飛ばした。
カニが言うように、本当は私にもマリリンにも結婚なんてする気など無いのだろうか?
或いはそうかも知れないが、多分そうでもないだろう。
私は気を取り直して歩き始めた。
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