8. 決意

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8. 決意

 黒石は真守と一緒に、彼の母親の病室を訪ねた。  六人部屋の窓際のベッドに、真守の母親はいた。 「真守! あっ……」  息子の顔を見て笑顔になりかけた顔が、黒石を見て驚きに変わった。 「進さん」 「やっぱり……」  ベッドの上の女は、やはり昔別れた女だった。真守の話でもしやと思っていた。黒石と別れて結婚し、真守を産んだのだろう。  黒石が真守と出会った経緯や今後のことを話すと、真守の母親は後悔に顔を歪ませる。 「私があんな男に引っかからなければ……」とさめざめと泣いた。  黒石は彼女を説得すると、児童相談所に真守を連れて行き事情を説明した。すぐに警察へ通報され、山野は取り調べを受けることになった。  捜査の過程で特殊詐欺に関わっていたことがバレた山野は、実刑を喰らった。しばらく娑婆には出てこないだろう。もう真守が山野を恐れる必要はない。 「これから僕どうしたらいい?」  真守は途方に暮れていた。  独りぼっちになってしまった。 「お母さんが退院するまで、俺んとこに来るか?」 「えっ? いいの?」  真守は目を輝かせる。 「ああ。実はお母さんには許可をもらってある」  黒石は頷いた。  もう何からも逃げないと決めていた。
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