ただ愛しい

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「はぁ!?」 昼休み、屋上でパンを食べながら久東くんとの約束の事を話したら真緒は思った通りすごい顔をした。 「なんで久東の家に行くの!? 行きたいの!?」 「行きたいんじゃなくて、行く事になっちゃって…」 「行きたくないなら断れよ!」 「うん…そうなんだけど…」 「久東!!」 もちろんこの場には久東くんがいる。 真緒は久東くんに掴みかかろうとするけれどするりと躱されて、それがまた怒りの炎に油を注いだようだ。 「なんで寧緒が久東の家に行かないといけないんだ!」 「俺と寧緒の約束に口出すんじゃねえよ」 「家でなにするつもりだ! どうせ無理矢理頷かせたんだろ!!」 「なにしようと弟には関係ないし、寧緒は自分で了解した」 久東くんは真緒の言葉に表情を変えずに俺の隣でパンを食べている。 自分で了解したって…沈黙は了解と取ると言っていたから、俺が黙っていたっていう事でそういう解釈になるのかな。 「寧緒、行かなくていい。いつも通り一緒に帰ろう」 真緒はそう言うけど、大丈夫かな。 ちらりと久東くんを見ると。 「寧緒は俺との約束破るのか…」 「う…」 「確かに約束したのにな」 「……」 そんな悲しそうな顔されたら心が痛む。 かっこいい人ってどんな表情しても顔が整ってて、こっちのダメージも大きくて…。 「ううん。約束したんだから行くよ」 あの顔を見せられて『約束なんて知らない』って言える強さは俺にはない。
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