海と笑顔

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「あ、あっ……もうむり! そこ……やっ……」  ベッドに移動して尻に指を挿れられたときには違和感しかなくて、本当に気持ちよくなれるのかと思った。ていうか、そんなに気持ちいいことが好きなのかって自分でびっくりするくらい期待していた。  指が中で動くとすごく変な感じがして、俺が身体を強張らせると開成がくれるキスが気持ちいいから、まあこれでもいいかなと思い始めて。  でも、中を探るように動く指がある一点を掠めたらわけがわからなくなった。痺れるような快感に身体ががくがくする。  確かに反応する俺を見て、開成はその場所を繰り返し撫で、そこを指でとんとんと軽く叩く。そのたびに目の前がちかちかした。 「ああっ……だめ、もうだめ……っ! きもちい……っ!」 「うん。すごくよさそう」 「っ……かいせい……っ、も、だめっ……!」  限界が弾けそうで弾けなくて苦しい。昂りを扱いて導いてくれるけれど、いきそうになると手を離されてしまい、いかせてくれない。激しい快感で昂り、透明の液が溢れるものに触れては焦らされる。苦しくて涙が溢れると、それを舐め取って開成は微笑む。 「忍、ほんと最高」  思わず見惚れてしまう笑みにも身体が熱くなる。 「かいせい……いきたい……」  もう本当に苦しくてねだると中で蠢いていた指が抜かれた。そのぬるっとした感覚でも腰が跳ねる。  いかせて欲しいのに、と視線を送ると開成は先程のコンビニの袋から未開封のコンドームの箱を取り出した。 「……」 「うん。最初からそのつもりだった」 「……なんも言ってない」 「言いたそうにしてる」 「……」  確かに言いたいことはある。でもそれ以上に、今は早くこの熱をなんとかして欲しい。自分で触ろうとしたらすぐに手を掴まれた。 「それはだめ」 「……じゃあいかせて」 「わかった」  ちゅ、ちゅ、と頬や額にキスが落ちてきて、俺の脚の間に開成が身体を入れる。 「挿れるよ」 「……」 「嫌?」 「……気持ちいい?」 「気持ちよくする」  熱い昂りの先端が後孔へ宛がわれる。返事の代わりに開成の首に腕を回すと、優しく名前を囁かれた。拓かれたことのない場所に昂りがゆっくり入ってくる。苦しくて開成にしがみつくと、いい子、と褒められた。 「入ったよ」 「……ん」 「動かないで少しこのままでいるから」 「うん……」  中がいっぱいで変な感じ。ぎゅっと抱きしめられて髪を撫でられる。 「忍こそ、こういうの慣れてないよね?」 「……?」 「会ったばかりの人間に、気持ちよくして……みたいなの」 「……したことない」 「俺だけ?」 「……それは」  開成の目をじっと見る。この質問にはどんな意味が含まれているんだろう、と瞳の奥を探るけれどわからない。 「俺だけだって言って欲しいから聞いてる」 「……」  俺の意図は開成に見透かされている。小さく頷いて問いに答える。 「……大きくなった」 「すごく興奮したから仕方ない。……動くよ」 「ぅあっ……!」  ゆるゆると動かれ、やっぱり変な感じがして唇にぐっと力をこめる。でもすぐに先程指で弄られた場所を昂りで擦られ、シーツを乱すことになった。  息もできない快感に仰け反ると、そのまま腰を掴まれて奥を求められ、更に快感が重なり頭がおかしくなる。 「ああっ……開成、もう無理……っ」 「気持ちよくなれてる?」 「なれてるからぁ……っ、あっ……かいせい……っ!」  気持ちいいなんてとっくに超えていて苦しいくらいなのに、身体はもっともっとと貪欲に快感を求める。奥のほうで燃える欲望が激しくて、でもなにも考えられないから、ただ身体の動くままに開成の腰に脚を絡める。開成の呼吸が乱れて、動きが速まった。 「っそれだめ……、……かいせい……っ! っああ!」 「だめなのは忍だよ……」 「あ、あ……!」  昂りを扱かれ、限界に導かれる。肌と肌のぶつかる音にも興奮して、ぐっと一番奥まで穿たれたと同時に白濁を吐き出す。開成が小さく身体を震わせて中の昂りがどくんと脈打った。 「はぁ……ぁ、……ん、ぅ……ふ」  既に馴染んでしまった唇の感覚に瞼を下ろす。熱い呼吸を絡ませて、火照る身体を抱きしめ合う。 「どう?」 「……?」 「ご満足いただけましたか」 「……」  優しいけど少し意地悪に見える笑み。この質問は答えたくなくて顔を背けると首のラインを舌でなぞられた。 「っあ……」  声が出てしまって慌てて口をきゅっと閉じると、今度は唇に舌が這う。唇の輪郭を確認するように舌が動き、ちゅっと吸われるとまた声が出てしまう。 「ほんと、忍ってだめ」 「え? あ……」  開成の昂りがまた熱を持つ。なんでこんな……と思いながらも、再び俺を貪る開成に身を委ねてしまった。
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