「かわいい」よりも

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「…もう、むりだ…っ」 腰が揺れる。 なにもされていないのに、見られているだけなのに。 限界が近い。 「あ、イく…だめ、だ…、イ、く…っ!」 がくがくと身体が震えて白濁を吐き出す。 真っ暗な視界の中、羽海がどんな表情をしているかわからない。 見られてるだけでイッたなんて、恥ずかしくて消えたい。 「誉、いっぱい出たね」 「や、あ…あ…っ」 腹に散った白濁を舐め取られる感覚に、また身体が震える。 舌の感覚に集中してしまう。 羽海の舌が俺の肌をいじめる。 「っ…あ、…うみ…」 奥まった秘蕾をなぞられ、目を覆っていた手が離れる。 眩しさに目を細めると、目尻にキスが落ちてきた。 「誉の顔、見る」 「…やめてくれ、っあ!」 指が中へと挿入ってくる。 羽海のキスで宥められながら異物感に耐える。 拡げる指の動き。 指を増やされてまたキスで唇を塞がれる。 「っん、ぅぁっ…あ! ああっ、あ…!」 指が一点に触れたら身体が大きく跳ねた。 達したばかりの熱がまた角度を変える。 何度も同じ場所を撫でられ、快感が駆け巡る。 「うみ、もういい…っ、はやく…」 「イきそう?」 「……っ」 こくこくと頷くと指が抜かれた。 熱いものが宛がわれ、キスが何度も落ちてくる。 「うみ…うみ…」 「可愛い、誉…マジで犯罪級に可愛い」 ぐぐっと秘蕾を押し拡げて昂りが挿入ってきて、俺が息を詰まらせると羽海は動きを止めてキスをくれる。 甘いキスに力が抜けるとゆっくりと奥へと進んできて、また涙が零れた。 それを羽海が舐め取る。 「あ…あ…、あ…っ!」 「好き、誉…大好き」 「っん…っ!」 指先を口に含まれ、ちゅっと吸われる。 軽く歯を立てられたら目の前がチカチカした。 「だめ、うみ…イく…! っああ…!!」 「っ…誉…」 「まて、…まっ…」 かくんと力の抜けた俺を抱き締めて、イッたばかりなのに羽海は待ってくれない。 「だめ…いま、だめ、だ、…あぁっ!」 「ごめん、止まれない」 奥を求められて身体が仰け反る。 胸の突起にも歯を立てられて、経験したことのない快感に首を横に振るけれど羽海は動きを止めずに俺を追い詰める。 普段の羽海からは想像できないくらい獰猛なキスと、熱い瞳。 食い尽くされる、そう感じたときには羽海のキスに思考が呑まれていた。 羽海しかわからない。 羽海しか感じたくない。 「っああ、あ…だめ、また…っ」 中の昂りが膨らむ。 俺の昂りを羽海が扱く。 羽海の背にしがみ付く。 最奥を突かれ、俺は三度目の限界に達した。 羽海も果てて、熱い吐息を交換するようにキスを交わす。 「うみ…もっと…」 もっとキスが欲しい。 甘くて蕩ける羽海のキスも、魂まで食い尽くすようなキスも、全てが愛おしい。 キスをねだって舌を出すと、ちゅっと舌先を吸われた。 熱いキスに酔っていたら、中の昂りがまた熱を持っていくのを感じる。 「…羽海?」 「誉がやらしいのが悪い」 舌で上顎を撫でられ、かくんと腰が揺れる。 キスが解かれて、肌のあちこちに羽海が印を咲かせていく。 羽海の髪に指をさし込むと、羽海が顔を近付けてくる。 「誉、キスして?」 「……それ、は」 「寝てる俺にならできる?」 「…?」 「前にしてくれたじゃん」 「……っ!!」 あのとき起きてたのか! ずるい。 でも、羽海が望むなら…。 「…目を、閉じてくれ」 「ん」 綺麗な顔。 そっと頬をなぞって、唇を重ね、ようとしてもできない。 恥ずかし過ぎる。 ちゅっと頬にキスをして顔を背ける。 「今のはだめでしょ」 「……」 「誉? ちゃんとして?」 「……無理だ」 羽海の首元に顔をうずめて逃げる。 「しょうがないなぁ…」 ぎゅっと抱き締められて、羽海の汗のにおいを感じる。 色っぽくて妖しいにおい。 つい顔を上げてしまう。 「やっとこっち向いた」 「……好きだ」 「うん。俺はもっと好き」 「俺だって負けない」 馬鹿みたいにお互い好き好き言って体温を交わらせる。 身体の火照りが醒めても抱き締め合い、熱い夜に溶けていく―――。 END
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