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好きだと自覚したら、次はどうしたらいいんだろう。好きになってもらうにはどうしたらいいんだろう。やっぱり、食事に誘ったりとか? そこまで考えて、今までは相手に任せきりだったんだな、と気がついた。
「食事……」
今埜くんとふたりで食事……。想像しただけで脳が茹だりそうだ。
でも、誘ってみよう。断られるのはわかっている。当たって砕ければいいんだ。砕けると覚悟して誘えば怖くない。それに、同性からの誘いなら、もしかしたら意識せずにオーケーしてくれるかも、という期待もないでもない。
「あの……もしよかったらですが、今度一緒に食事でもどうですか……?」
「え……」
「いえ、無理にとは言いません! もし、よかったら……です」
「……」
なぜか、俺が今埜くんから食事に誘われた。
「あの、羽田さんともっと色々……話したりとか、したくて」
「……うん」
「本当に、だめならそう言ってください……」
語尾が消えそうになってる。頬が熱いけれど、向かい合う今埜くんの頬も赤い。俺が誘おうと思っていたのに……。
「うん。俺も、今埜くんとご飯食べに行きたいなって思ってたから、行こう?」
「!!」
「いつにする?」
「もし羽田さんの都合がよければですが、店休の日はどうですか? いつも店が休みの日は羽田さんに会えないの、寂しいんです」
……そういうこと、さらっと言わないでよ、どきどきしちゃうから。
期待してしまう。もしかしてって。もしそうだったらいいな……と考えて、そんなわけないよな、と落ち込む。でも、やっぱり少し気持ちがふわっとする。少しは好かれているとわかるから。その“好き”が、恋愛感情になってくれたらいいなと願いながら。
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