初恋の人

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先輩と付き合い始めて三週間。俺はまた先輩の部屋にお邪魔している。あれから先輩は時間を見つけて一時間だけなど、少しの時間でも会いたいと言ってくれて会っているけれど、ゆっくり会えるのは久しぶりだ。 ソファに隣り合って座り、デリで買ってきたお惣菜を食べながらゆったりお酒を楽しむ。 「森田、おいで」 「え?」 突然の言葉に首を傾げると、「ほら」と言われてなぜか先輩の膝の上に横抱きにされた。 「!!」 「もっと体重預けていいよ」 「お、重いですから!」 逃げようとしてもしっかり抱きしめられていて逃げられない。恥ずかしい体勢に頬がどんどん熱くなる。 「重くない。森田はほんとに素直で可愛いな」 絶対真っ赤になっている頬をなぞられて俯いてしまう。どんな反応を返したらいいのかもわからない俺に、先輩がすくうようにキスをする。温もりが繰り返し触れてくらくらしてきた。酔ったのかな、と思いながら先輩にしがみつく。 「……そんな可愛すぎることされたら止まれない」 「んっ……」 唇を舐められ、ぬるりと舌が口内に滑り込んでくる。俺の舌を絡め取り、こすり合わせるようにされると肌が粟立つ。もっとくらくらしてきて、でもキスが気持ちよくて先輩にしがみついて甘いキスを受け入れる。溶けそう、と思っていたらシャツの裾を乱して先輩の手が肌に直接触れてびくりとしてしまう。 「嫌?」 先輩の唇が濡れている。俺を見つめる瞳の奥には情欲が宿っているようでぞくぞくする。 「……嫌じゃないです。して欲しい」 ゆっくり先輩の背に腕を回し、抱きついて答えると、ちゅっと音を立てて啄むキスが降ってきた。 「ベッド行こうか」 絶対心臓がおかしくなる。どきどきがすごくて指先が震えてきたのできゅっと手に力をこめてごまかし、頷いた。
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