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研究会メンバー一覧
一
雪山の山荘『鬼灯館』で起こった出来事を話す前に、私が所属していたミステリー研究会のメンバーを紹介しましょう。まず私、会長の白砂雪夜は本格ミステリーの研究をしています。
ファンタジージャンル盛り上がる中、ミステリージャンルも盛り上げていきたいと研究会を立ち上げてメンバーをそれぞれ集めました。そんな私の誘いに乗ってくれたのは、学園ミステリー担当の「月下美人」氏です。彼は謎解きは好きだけれど殺人といった要素が苦手なタイプで研究会では「ミスターレーティング」と呼ばれています。最初に死体を転がしたいミステリー作家にとっては少し耳の痛い存在ですが月下の書くミステリーは家族で楽しめるミステリーとして大学内でも好評です。
月下と同じ文学部の生徒「影山あかり」は、恋愛ミステリー担当です。謎解きは恋愛絡みの事件においてはナンバー1の嗅覚の持ち主。台詞を読んだだけで嘘を見抜き、浮気や二股をズバリ言い当ててしまう程。ついたあだ名が「昼ドラの女王」ですが、自身の恋愛には医者の不養生なところもあります。
私の後輩に当たる「椚坂充彦」は、ミステリーに関しては好き嫌いがなくジャンルミックスものを担当。SFミステリーやホラーミステリーなどをたくさん読破してきてますが、思考が柔軟なタイプなのかも知れませんね。
次に「町丘哉中」社会派ミステリーを担当している為か、ミステリーでは犯人の動機よりも被害者の気持ちにもスポットを当てるべきだと研究会ではメンバー達と衝突する事が多い子でして、犯人が逮捕され、起訴されてから裁判で死刑にならないと納得出来ない性分なんですが、会長の私としては、犯人の動機も被害者の気持ちもバランスよく作中に入れるべきだと説得しています。
そして「高木大祐」彼は昨今ブームになりつつある警察小説を担当。探偵が活躍するものより警察が登場する作品を好む為か「ノックスの十戎」や「チャンドラー十二即」といったものを言及してきますが「それ法律じゃねえだろ!」とメンバーたちから突っ込まれる事から「ミステリ奉行」という愛称で呼ばれています。
最後に「本野挿絵」研究会では一番若手でこれから好きなジャンルの本を見付けて研究していこうとしています。彼女も月下や椚坂のように担当ジャンルの研究をしてもらう事になる予定です。
以上、七名のミステリー研究会メンバーが、新潟県の北にある孤島に建つ館に、各自の親睦を深めるべく合宿に向かいました。
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