いざ、鬼灯館ヘ

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「ご遺族としては、死亡の真相を知りたいだろう。主に死因だが、そもそも影山の死因ってなんだ?」 「私にも家族はいます。勿論、ここにいる皆さんにも、遺族が自分の死を知ったら犯人は処刑されないと気がすまないと思うでしょう。連続殺人となると悲しむ家族を増やしてしまう事になります。影山さんの死因を明らかにしましょう」 影山の遺体からは刃物や鈍器による外傷は見当たりませんでした。ということは飲食物に毒を盛られた可能性が高い。 「毒ですかね?」 「青酸カリとか? それでも一般の大学生が購入出来る代物ではない。どうやって入手したというんだ」 「一般人が日常生活で毒を入手するには、青い色の熱帯魚か、珊瑚を買うといった方法があるよ高木さん。ブダイに似たアオブダイは珊瑚を食べるけど、珊瑚にある毒を食べても平気なんだ。でも人間が口にすると最悪死亡するケースもあるらしい」 月下は嘗て研究会で執筆した日常ミステリーでそうした内容を書いた事を思い出したようです。ただでさえグロテスクを嫌う性分で死亡の二文字も書きたくない性格なので、死亡したとしても寿命で亡くなったという書き方をします。 「フグ科の魚はみんな餌に含まれるテトロドトキシンを体内に含んでいるが、そもそも、影山は魚飼ってたのか?」 「それは犯人のほうだと思います。毒殺という事は恐らくピンポイントの殺人、そして次に誰を殺害するかも決めてある筈です」 「順番を、既に決めてある?」 「この場合、自分を覗いて六名を順番に。探偵小説の場合なら自分、探偵、助手を除き三名。何故なら探偵と助手には接点も動機もないからです」 「会長『サイコパス』の犯人なら殺害の動機すら必要ありません」椚坂はそう意見しました。書く側からすると、動機を考えずに書けるメリットはあるが、頭の回転が早い犯人タイプなのでハードルは上がってしまうデメリットがあるとか。 「被害者の側からすると一番許せないタイプの殺人鬼です。読者の立ち場からすると、面白い題材に間違いないと思いますが」 「同感だ。ノックスの十戒では、犯人の動機は個人的な動機が好ましいとある。個人的な動機がない犯人が殺人などあってはいけない」 「動機があろうとなかろうと人の命を殺めた以上は、法による罰を受けるべきです。不起訴があってはいけません!」 「それは事件が解決してからの話しです。明日は我が身かも知れないんです。殺人鬼対策をしっかりとって我々は正当防衛に備えましょう」
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