いざ、鬼灯館ヘ

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確かに雪山の山荘に現れた殺人鬼が怖いというメンバーたちの心情はわかります。だからといって殺されるまで何の対策も取らずに怯えながら待つだけというのも如何なものかと思うので防犯の案をメンバーから募る事にしました。 「まずメンバー各位、体を鍛えよう。護身術なら教えられる」 高木は開口一番に意見。我がミステリー研究会は文系サークルなので運動や格闘は苦手なのはわかりますが、体育会系の強化合宿になってしまう気がします。 「犯罪者の狂気に負けない強いメンタル、犯行手段を跳ね返す強い肉体、そして確実に正当防衛出来る確かな技術。この心・技・体を身につけるんだ」 「一朝一夕で会得出来る気がしません。それにここ女子もいるんですから考慮してはどうでしょうか?」 流石にいきなりの筋トレや戦闘訓練は無茶な気もするので止めました。 「女子にでも出来る防犯対策は、館に犯人用のトラップを仕掛けて、殺されないようにする事だと思います。ほら館モノミステリーって館に何かしらのトラップがあるじゃないですか」椚坂の言う通り、館ものミステリーには殺人用のトラップが用意されていますが、それを館に来た我々が仕掛けるとは斬新な意見です。 「例えばどんなトラップですか?」 「僕たちがのみ散らかしたものを撒菱みたいに配置して踏んだら痛いとか」 「私たちも歩けないですよ」 「ドアノブにハンダゴテ付けて、握ったら火傷するとか」 「私たちも握れないです」 「要は犯人の武装解除が出来ればそれに越した事はないんですね。それなら厚くて丈夫な物を服の中に入れて急所を守れば、刃物による刺殺は免れるし、首元にもちょっとやそっとでは曲げられない物を嵌めておくと絞殺も免れる。という方法もありますが」 「町丘さん、手っ取り早い防犯は下腹部にキックで終わらせられますよ」 本野。不謹慎だけど聞いただけで悶絶しそうなくらい説得力抜群の意見です。とはいえこれだけメンバーがいると、実に様々な意見が出てくるのは頼もしい事です。
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