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静かな部屋に一人いると白い息が消え入るのが分かる。
母の声に応えるように部屋の扉を閉め、晩御飯を食べる。
お風呂に入り、布団にこもり、今日が終わる。
好きなように生きていくとは言うが、好きなことでお金を得ようとはしない。やりたいこともない。やりたくないことはある。今の世界に不満や不安は感じている。
本を読むことが好き。音楽を聴くことが好き。
ひとつひとつ本の中の人生に触れ、自己を投影するたび、全身の感覚がなくなり、意識が浮遊する。ここではないどこかへ行き、頭の中を自分の物語の世界で満たしていく。聴覚も現実と乖離させこの世界から旅出させる。
そこで、自己を見つめ、自分の生きる道を探す。
本棚に並ぶ本の一冊一冊が、私がここに生きてきた何よりの証拠だった。
寿命が尽きれば死に、現実世界に帰って眠りにつく。
そしたらまた、朝がくる。それを365日繰り返せば1年が経つ。
学生だった自分もいつのまにか大人になっている。
19歳で全て分かったふりをしていた。
でも、色々な世界を見てみたくなった、いろんな人生に触れながら自分自身を見てみたくなった。死という物語の最終章を終えるまで、暇つぶしのように生きていこうか。
死に向かっているわけではない、死がこちら側に来ている
既に決まっている終わりを迎えるまで、たまにはどこかに行きながら、今を楽しむ。
ここにいる自分と、ここではないどこかにいる自分。
少しずつ二人の色を混ぜて、新しい色になろう。
あなたは、私は、私が生きていく光だった。
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