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アルフの言葉に、野菜の入ったスープを口に運んでいたレイナが苦笑しつつも「私もです」と呟く。
ヴィクターはその逞しい体を前方へと僅かに傾けて、手にしたジョッキをアルフの方へと向けながら問い掛けた。
「これから王都に戻るんだよな?」
「ええ、明日の朝には発とうと考えています」
言いながら、アルフはレイナの方へ視線を遣る。それに気付いた少女は、屈託のない笑顔を返した。
「大丈夫なのか? 例の、石を狙ってる連中ってのと出会すかも知れないぜ」
「危険は重々、承知しておりますよ。ですが、だからといって立ち止まっているわけにはいかないのです。一刻も早く王都へ戻り、石を完全に封印しなければ……」
真剣な顔で、アルフが告げる。ふぅ、と小さく息を吐き出して、ヴィクターは再びジョッキを傾けた。
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