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その様子を見守っていたレイナは、徐に首を傾げつつ、おずおずと言葉を溢す。
「あの……、パートリッジさんは『自分が同行した方がいいのではないか』と提案してくださっているんじゃ……」
直後にヴィクターが飲んでいた酒を噴き出し、大きな咳を溢す。アルフは「えっ」と間の抜けた声を溢して、一度だけ少女の方へ目を遣った後、直ぐにヴィクターの方へその視線を向けた。
何度も噎せながら、ヴィクターは微かに潤んだ瞳で恨めしそうに少女を睨み付ける。
「別に『俺がいれば護ってやれる』とか、そこまで自惚れたことを言うつもりはないぜ」
「では、どうして……」
「ま、あんたらの旅に着いてけば、かなりの稼ぎになりそうだしな」
そう言いつつ、ヴィクターはその視線をアルフとは反対の方向へと向ける。それだけが理由ではない、という顔だ。
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