第二章 第五話

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  「なるほど。当初の目標である階級(ランク)に達してしまったからこそ、それまであったはずの上昇志向のようなものが失われてしまった、というわけですね」  要約するアルフに、ヴィクターはその頭を何度も頷かせ、酒の入ったジョッキを口許へと運ぶ。直後に空になったそれをテーブルに勢い良く叩き付けた彼は、満面の笑みをその顔に貼りつけながらも声を上げる。 「だが、今回の仕事は本当に良かった! これだけ長いこと冒険者をやってる俺にも、まだまだ知らねえことがあるなんて、まったく、世界ってやつは本当に広いぜ」  微笑を浮かべたレイナが、小声で「本当にその通りですね」と呟く。 「あの屋敷にいる時は、気味が悪いからさっさと帰りたいなんて考えてたが、終わってみりゃ凄ぇ体験をしちまったもんだと、俺は素直に感動したぜ」  
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