寒さから

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寒さから

その日はクリスマスのデートだった 駅の改札前で待ち合わせて 音楽を聴きながら待っていた。 今日は出会って 6ヶ月記念日でもあった。 外では粉雪がクルクルと舞っていた。 電車のホームで発車ベルが響いていた。 「ごめん、お待たせ。」 「全然、待ってないよ。  さっき着いたところ。  音楽聴いてたし。」  お互いに温かいジャケットを羽織り、  モコモコとマフラーをして、  白い息を吐いていた。 「そっか。  今日、寒いよな。」    勇輔は、白いジャケットのポケットに  手を入れていた。 「んじゃ、行こうよ。  お腹空いちゃった。」  優衣は、勇輔の横に立ち、  腕を掴んで早く行こうと急かした。 「あ、ちょっと待って。  バックに手袋入ってたから  一緒につけよう。」  優衣はバックの中から  モコモコの手袋を取り出して、  片方を勇輔に渡した。 「これ、1組しか無いんだろ?  もう片方寒いじゃん。」 「あ、そっか。  んじゃ、つけるのやめるよ。」 「そしたらさ、こうすれば?」  勇輔は、一つの手袋を右手につけて、  もう一つの手袋を優衣の左手につけた。 「え、それじゃあ、  勇輔の左手と私の右手が  超寒いじゃん。  ほら、冷たいよ?」 「わかってるつうーの。」  勇輔は優衣の右手を掴んで、  指それぞれを重ね合わせた。 「あー、手繋げば温かいってこと?  でも、雪降ってるから寒いって〜。」  手を繋ぐのは嬉しかった。  でも外は雪がちらほらと降って、  手袋が無いと、手が冷たくなる。 「さらにー?」  勇輔はジャケットのポケットに  優衣の手を繋いだまま、ぎゅっと入れた。  体も密着して温かいし、  ホッカイロが入ったポケットの中は  ホカホカしていた。 「な?   これなら防寒対策バッチリだろ?」 「う、うん。  そだね。」  優衣は恥ずかしそうに  頬を赤らめた。  電灯の灯りに照らされて  優衣の笑顔が見えた。  勇輔はそれを見ただけで  心がホッコリと温かくなった。  勇輔と見るクリスマスの  イルミネーションは  いつも以上に  綺麗に見れることだろう。
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