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さっきから、ふるえが止まらない。
ぼくは大腸。
からだのまん中におさまって、食物のカスや細菌を外へ送り出す仕事をしている。だけど、今、仕事どころじゃないんだ。小刻みにふるえながら、キリキリと走る痛みをこらえるのが精いっぱい。
イテテテテ。
「ねえ、大丈夫?」
ぼくは、左下にいる直腸に声をかけた。
「ダメそうだ。遠くのほうから、波が押し寄せてくるような……」
「波か……」
直腸にしては、うまいことをいう。ふだんは、「水分もっとよこせ」とか、「水分、多すぎ」とか、水分調節のことばっかりなんだ。
まあ、送り出すもののかたさを調節しないと、直腸の下の肛門に傷がつくから、水分って大事なんだけどね。
「君は、大丈夫?」
右下にいる盲腸にも、声をかけてみた。
「すごく痛い。ズンズン、ズキズキする」
いつもおとなしい盲腸が、遠慮がちに、でも、はっきりと、痛みを訴えてきた。いやな予感がする。
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