さよならチュウスイ

10/11
前へ
/11ページ
次へ
 「……」  返事がない。 「チュウスイは?」 「もう、いないよ」  盲腸がこたえた。言われなくても、わかっていたような気がする。  麻酔をされて、意識を失って、その間にチュウスイは、切り取られていったんだ。 「あのね」  盲腸が言う。 「チュウスイはね、ぼくたちの中の細菌のバランスを、いつも保ってくれていたんだよ」  それも、わかっていたような気がする。 「ぼく、ほんとうに、チュウスイのことに、気づいていなかったのかな」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加