さよならチュウスイ

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「なんだよ、いまさら」  ひややかな直腸。でも、ぼくは、つづけた。 「なにも言わないのをいいことに、利用するだけ利用して、気づかないふりをしていたんじゃないのかな」  すると、盲腸が言った。 「チュウスイは、気づいてほしいとか、感謝してほしいとか、思ってなかったと思うよ。ただ、そこにいて、自分のやるべきことをする。それでよかったみたい」  痛みとともに、いつのまにか、ぼくのふるえも消えている。 ――存在感あるやつが……、そんなに……、えらいか?  ぼくの右下に、チュウスイの声が残った。
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