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「うひゃーーーーっ!!」
ドラゴンは雄ギツネのイプを背に、大きく翼を拡げて雪原から勢いよく飛び立った。
「キツネさーん!!僕の背中にしっかりと掴まってるんだよ!!」
「掴まってまーーーす!!」
ドラゴンは更に高度をあげて、雪降る中の鉛色の空を飛んだ。
「うわーーー!!綺麗!!」
雄ギツネのイプの目の前に拡がる、キラキラ光輝く雪の結晶。
眼下の木々の樹氷が、ダイヤモンドダストになって燦めいた。
雄ギツネのイプは、ドラゴンの背中の上でこの降り続ける雪の美しいファンタジーに、うっとりと目を細めた。
・・・・・・
・・・・・・
老ギツネのイプはそこから思い出せなかった。
このまま光景に見惚れすぎて、思わずドラゴンの背中から振り落とされて、真っ逆さまに雪原のど真ん中に墜落したか、はたまた・・・
しかし、老ギツネのイプは雪原の中で巨大なドラゴンに出逢った瞬間が蘇ったとたん、
目の前に再びあのドラゴンが現れた。
「やあ、キツネさん。久しぶり。」
「ああ・・・ドラゴンさん奇遇だね。今、君のことまた思い出したんだ・・・
わしの死に際にまた逢えるなんて・・・」
「君は、今から転生するんだ。僕と一緒に、あの異世界から呼んできたんだ。君を。」
「そっか・・・じゃあ、また一緒に。」
老ギツネのイプは、ヨッコラショ!と迎えに来たドラゴンの背中に乗り、
激しく雪が降りしきる空にポッカリ出てきた、魔法陣の空間に向かって飛んでいった。
〜キタキツネと雪の中のドラゴン〜
〜fin〜
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