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するとモニターの画面がいきなり真っ白になり、個人情報を求められた。
ここで間違ったことを入力するとこの時点で契約違反だと罰を食らう可能性もあるので請われるままにモニターに赤裸々に自分の情報を入力していくと。
ポンと軽い電子音がして。画面に『all clear』と表示され安堵する。
瞬間、画面がまた切り替わり一人の気難しそうな。それでいてどこかで見たような老人が写し出されて一方的に喋り始めた。
驚くが、同時にキーを動かして動画のバックアップを取る。
『こんにちは。私の名前は黄静賢だ』
「黄静賢って、さっきラジオで流れていた脳科学の権威じゃないか」
しかし、先ほど死んでいるとニュースが。
そんな死人からの連絡に驚きを隠せないが、そんな俺の気持ちは置いてけぼりで画面の賢者は喋る。
『君は今はしがない掃除屋だが、元国軍秘匿部隊隊長だと言う事は知っている。そして、この動画を録画をしようとしているかも知れないが、それは辞めておきなさい。録画は罰に触れる』
「この爺さん、遠隔で俺を監視していないか?」
ふっと、笑って指を止めると画面の賢者もニヤリと笑う。
『完全隠匿にして秘密。このことは君が墓まで持って行く秘密だ。そしてこの動画を見ていると言う事は私の命は果てたのだろう。けっして暗殺とかではない。持病だ。私では出来ないある事を、君に実行して貰おうと冥婚契約を用意していたまで』
「死後までご苦労様なことで」
『なに、簡単な依頼だ。今巷を騒がしているDiVAを殺せ。いや、壊せ。会えば分かる。それだけだ。それについてはこの動画が終わると直ぐにサイテック社から必要なモノが届く。それを見ろ。一週間以内に遂行しろ。そして報酬を得よ。以上だ。土の中から君の活躍を祈っている』
「えっ?」
と、思った瞬間にはバチンっと映像が終わり。
メールが消えた。すぐさまに復元を試みるが。
(冥婚契約を開いた時間から開封有効期限を短く設定。そこからカウントダウンしてゼロになったら消える仕組み、か。アナログだけど間違いない)
復元は無駄だと。さてと思っていると。
家の不在ボックスに荷物が届いたアラーム音が鳴り響いた。
それは確認するまでもなく。
麒麟サイテック社からの配達だった。
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