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「サキ王子・・?」
サキ王子の視線からはミーティアへの憎しみも感じられた。
「時は一刻を争う・・。すみやかにエターナルを渡しなさい・・」
サキ王子は「冷たい」という印象から「恐ろしい」態度に変わった。
「で、ですが・・、この、エターナルと呼ばれる黒いペンダントは・・、わ、私の・・、お守りでもあるのです・・!」
ミーティアはとても怖かった。
突然、王族に呼び出されただけでも理由がわからず不安でたまらないのに、冷たく鋭い憎しみの混ざった視線を向けられているのだから。
おまけにミーティアは魔法が使えない。
何かあっても身を護る手段がないのだ。
「お守りだって・・?」
その瞬間、泉の間の空気が変わった。
ミーティアは見えない針にさされるようなピリピリと張り詰めた空気に恐怖と危機を感じ、とっさに椅子から立ち上がった。
急に立ち上がったため目まいのようにフラッとなり、数歩だけうしろによろけてしまう。
「ふざけるんじゃない!エターナルさえなければ・・!私の気持ちも知らずに君は・・!」
サキ王子のすさまじい怒りにミーティアはこの場から逃げ出さなければと思った。
王子の怒りに触れた以上、下手をしたら命の危険もある。
「話では解決しなさそうだ・・。ならば力づくでもエターナルはもらうよ!」
サキ王子が右手をかかげると人さし指の指輪から赤い光がはなたれ、ミーティアのまわりに4本の柱があらわれた。
「包囲せよ・・」
サキ王子の言葉に答えるように、泉の間にある噴水や滝に流れている水が4本の柱に吸い寄せられ、氷の柱へと変化した。
「な・・、何をするのですか!サキ王子!?」
ミーティアが恐怖のあまり叫ぶと氷の柱から霧が発生した。
「ミーティア・オブリージュ・・、動かない方がいいよ。この霧に触れてしまったら君の体は凍ってしまうからね・・」
もう、ミーティアは逃げることができない。
エターナルを奪われようと命を奪われようと、たとえミーティアに魔法が使えても、身分の高い王子を相手に抵抗などはできないのだから。
「ルーシェ・・、もう会えないの・・?」
震えの止まらないミーティアにサキ王子が近づく。
「エターナルは私があずかる・・」
サキ王子の手がエターナルに向かってのびる。
ミーティアは恐怖の中で、もう1度だけルーシェに会いたいと願った。
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