セフレの先っぽ

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セフレの先っぽ

遮光(しゃこう)カーテンの隙間から漏れた明かりが、私の顔に差し込む。 子鳥のさえずりが耳に入って来て、だんだん目が覚めてくると、突然体のダルさを感じた。 意識すると、なんか腰も痛い。 なんでだっけ⋯⋯。 そんなことを考えながら寝返りをうつと、ふわりとシトラスのような香りが鼻をついた。 その瞬間、ダルさも吹っ飛んでパチッと目を開けた。 すると、予想した通りに自分の部屋ではない景色が映り、瞬時に昨夜の出来事が脳裏に駆け巡る。 その映像に、脳内の私が思いっきり頭を抱えて叫んだ。 ああーー!! またやったしまった⋯⋯っ!!そうだった!! 私、昨日また⋯⋯っ!! 自分の行動に落胆(らくたん)していると、(ひど)く端正な顔が私の視界を占めてきた。 「穂乃果(ほのか)、起きた?」 私の気なんて全く知らないこの人は、甘い顔で微笑(ほほえ)んだまま、手にしていた煙草を(くわ)える。 布団で下半身が隠れて分からないけど、私と同じく、まだ身に何も(まと)ってないであろうこの男は、大学でも女たらしと有名な(そう)。 「吸う?」 まだ横になってる私に、得意げな顔で煙草(たばこ)の箱をチラ付かせてくる。 私が禁煙してるって知ってるのに。一体どういうつもりなんだろうか。
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