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サンタみたいなおじさんが言い終えると同時に機体が激しく揺れる。
上下では飽き足らず、左右にも揺れ動く。
ふと、窓から羽根を眺めると、今にも折れてしまいそうなくらいたわみ始めている。これのどこが安心安全快適なのかさっぱり分からない。
必死になって肘置きにしがみつく。恐怖が身体を包み込んで悪寒に襲われる。
数秒、私には三時間くらい感じたが、やがて揺れが収まり安定してきた。
今ほど命があることがありがたく感じたことはないだろう、平凡な日々であったが私の人生も捨てたものじゃない。
「さぁ、そろそろ〈エアポケット〉の中だよ、外を見てごらん」
言葉に導かれるように窓から外を眺める。
そこには黄金に輝く砂漠の世界が、一面に広がっていた。
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