エア・ポケット

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 サンタおじさんはにやついた表情のまま説明を始めた。 「〈エアポケット〉では激しい気流によって揺れるだけじゃないんだ。上下の移動に飽き足らずあらゆる揺れによって激しい変化が起きるのさ」  分かりやすい説明ではあるが、つまりどういうことだかさっぱり分からない。  なんてことを思い、サンタおじさんを訝しんでいると再び機体が揺れ始める。先ほどより激しいものではないが、反射的に肘置きをつかんでしまう。  ポーンッ、電子音が鳴り響く。 「ただいまエアポケット、ポジションポケットを抜けてタイムポケットに突入いたしました。現在太古代の日本上空を飛行中でございます、大陸が生まれる前の地球の海をご覧ください」  ぽじしょん……たいむ……ぽけっと?  初めて聞いた単語に戸惑いつつ、再び窓を眺めてみる。  さっきほどと打って変わって一面の海が広がっていた。  東京ではお目にかかれない、ずっと深くまで海中の景色が見えるほど透き通った海。  何より海の色が違う。青色ではなく碧色、透明なエメラルドグリーンの穏やかな海。 「ええッ⁉ さっきまで砂漠だったのに⁉」  全くもって意味が分からない。しかも大陸が生まれる前って一体何年前?
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