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三人組のうち、真ん中の一人がフリップボードを見せる。分厚い紙に、黒マジックで書き流した言葉。
前髪をあえて直線状に切る大人の歪(いびつ)に寄り添うために
あれ?
大喜利番組だと思っていたら、どうやら違う。
「短歌甲子園」?
じゃあこれは短歌なのか。
前髪を/あえて直線/状に切る/大人の歪に/寄り添うために。
確かに、五・七・五・七・七になっている。たんつつとん、たたたととつつ、とととととん。百人一首と同じリズムだ。
でも百人一首じゃない。
前髪をあえて直線状に切る。大人の歪に寄り添うために。
とんとん。
こわばった肩を叩かれた気がした。
「これは、どういう歌ですか」
司会を務める芸能人が尋ねる。
すると、真ん中の高校生はこう言ったのだった。
「お題が「ルール」だったので、校則のことを歌にしました。まっすぐなものほど、歪んでいるなって。そう思ったんです」
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