ポケットの中に世界があふれてる

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 こんなくらいのだったら、全然できる。いくらでも。こんなのを、僕はスマホのメモ帳にいちいち書きとめることにした。    このガチャを運命と呼ぶなぜならば    損得じゃない愛があるので    そして、いつしか三十一音出揃って短歌の形になったので、SNSでつぶやいてみることにした。  一つ、二つ、「いいね」がくる、友だちから。  あっ、これ友だちも見れるんだ。と気がつく。 「恥ずっ……!」  速攻消そうか迷った。  でもその瞬間、「いいね」がまた一つ増えた。  今度は友だちじゃない。  アイコンが、韓国の女の子だった。つるっとしててまつ毛が長い、アイドルみたいな顔をしている。もしくはアイドルなのかもしれない。  なので、消すに消せなくなった。  うっとりして見ていたら、 「なぁ、何これ?」  SNSで、すぐ友だちが聞いてきた。  韓国の女の子かと思って動揺したけど、気を取り直す。 「短歌」 「短歌?」 「詩みたいなもん」 「ふーん。いいね」  どきん、とする。  やば。ほめられた。いじられると思ってたのに。 「で、何当たったの?」 「は?」
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