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「あれはもしかして、悦子の現場じゃないかい」
テレビから最も遠いテーブルの席に座っている、グレイヘアで短髪の女性がリビングの入口に突っ立っている悦子の方を見てそう言った。
「そうです。千代さん」
「夜に爆破するのではなかったのかい」
「そのはずでした」
「でも一昨日の夜は爆発しなかった」
「てっきりあいつらに解除されたものと……」
「そうなると、あちらがあんたの爆弾を利用した、ってことになるのだろうね」
「そんなバカな!」
悦子は思わず大声を上げた。
「何もあんたを責めたりはしちゃいないさ」
グレイヘアの下からクリアカラーのプラ製老眼鏡越しに鋭い視線が悦子に飛んできた。
テレビニュースは現場の惨状を流していた。
(続く)
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