(二)

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「これはなあ、国産メーカーの一流の高級品で、タフで正確さを求められる軍用モデルだ。本来俺みたいな地方公務員程度では買えない代物だがな。俺みたいに有能な刑事に是非プレゼントしたいという人間もいるのだ。どうだ、いいだろう」  得意になった満面のドヤ顔でそう語ると刑事は席を立って取調室を出て行った。  あれと同じものをどこかで見たことがある気がしたのだが……。  悦子がそうぼんやり考えていると当直の制服の警察官に「出ろ。行くぞ」と言われて地下の留置場へ連行された。  豊川悦子と船町芙美恵は男女別の雑居房とはいえ、夜通し灯りが付けっぱなしの留置場で、騒ぎ立てる男たちが獣のように鉄格子の中の狭い空間をウロウロと徘徊したり、手や足で音を立てたり、卑猥な言葉を投げかけてきたり、騒いだりするのを聞きながら、ベンチに横になって体を休めた。 (続く)
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