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一晩寝れば大抵の怒りも概ね収まるものであることは、悦子も経験上知っていた。例外はもちろんあり、若い頃にはその例外ばかりであった。しかし三十年も生きていれば、その例外の方が例外になってきているということに、自分でも薄々気づいていた。
しかしこの日は違った。クソろくでもない人間に絡まれたおかげでクソろくでもないことに巻き込まれた。しかもそんなことで逮捕拘禁され、刑事にクソみたいな尋問を受けることになり、その上クソみたいな留置場に放り込まれたのだ。先週末のテロは悦子が設置した爆弾を利用したもので、しかも罪のない人間を狙って爆発させられた。その上、その事件の責任を爆発させた者ではなく爆弾を設置した者になすりつけたのに加え、仲間を殺されたのだ。許せるハズがない。その思いが、悦子をイライラさせ続けていた。
(続く)
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