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 そう言うとリオ・ナバ王は真剣な顔でじっとフウルを見つめた。 「実は、そなたの国のオメガが持つ特殊な能力について調べたことがある。太陽や風、それに雨を導く力はあっても、自然に反した能力を持つという情報は一つもなかった。可能性が高いのは、そなたの義母である王妃たちの悪意ある策略だ——」 「え? 策略?」 「そうだ。この雨に塩は混じっていない。そなたを追い出すためにそんな噂を流したのだろう」 「そ、そんな⋯⋯」  ——義母上たちの嘘だったなんて。  広い胸に顔を押し付けたまま、フウルは唖然とした。震える体をリオ・ナバ王が優しく抱きしめてくれる。 「ひどい王妃だが、そなたが来てくれて俺は嬉しい」 「でも⋯⋯。でも僕はヘンリーじゃないんですよ? ヘンリーのような日差しを呼び込む力は持っていません」 「我が国に必要なのは、日差しじゃない。雨だ——。そなたが嫁いできてくれてよかった。ようこそ、我が国へ、雨降り王子どの」  リオ・ナバ王はにっこりと微笑んでフウルの手を取り、手の甲にそっと口付けをした——。 ***** 「フウル王子さま、もうしわけありませんでした!」
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