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「⋯⋯陛下、このままじゃお風邪をひいてしまいます!」 「フウル?」 「え?」  ハッと気がつくと、優しい瞳が見下ろしていた。 「少し、落ち着こうか? 気遣いはもちろんとても嬉しいが——」  リオ・ナバ王が雨に濡れた前髪を長い指でかきあげて微笑む。 「陛下⋯⋯」  どうしてこんなに優しく見つめてくださるのだろう? もしかしたら⋯⋯、もしかしたら⋯⋯、僕を許してくださるおつもりなのだろうか?  小さな希望が心に浮かんだ次の瞬間だった。  遠くの空から「キーッ!」と耳障りな鳴き声が聞こえた。  ハゲタカだ。  大きなハゲタカがぐるぐると輪を描くように砂漠の上を飛んでいる。十羽以上はいるだろうか?  リオ・ナバ王が、フウルの視線を追いかける。 「なにを見てるんだ?」 「——あの鳥です」 「ああ、あれは別名『罪人たちの番人』と呼ばれているハゲタカだ。我が国には、砂漠でハゲタカに生きながら食わせる、という処刑の方法があるんだ。大昔の話だがな⋯⋯」 「え!」  ——ハゲタカに生きながら食べられる処刑?  あまりに驚いたので、リオ・ナバ王が最後につけ加えた『大昔の話』という部分を聞き逃してしまった。
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