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——ああ、そうなんだ。僕はこのためにここに連れてこられたんだ。今からこの砂漠で、あの大きくて恐ろしいハゲタカに、僕は生きたまま食べられるんだ!
処刑される覚悟は決めていたとはいえ、あまりの恐ろしさに体がガタガタと震え出した。
両手で体をギュッと抱いて空を見上げると、顔に雨が落ちてきた。息ができないほどザーザーと強く降ってくる。
——怖がったらダメだ! この雨に塩が混じってしまったら、陛下とこの国の人たちの努力を台無しにしてしまう。塩の雨なんか降ったら、二度となにも育たなくなる!
「僕をはやく処刑してください!」
リオ・ナバ王を見つめて大きな声で言った。
「フウル?」
「はやく、はやく僕を、処刑してください!」
「——ちょっと落ち着こうか、フウル」
リオ・ナバ王はそう言いながら黒いフロックコートを脱ぐと、ふわりとフウルの頭からかけてくれた。
王の上着はとてもいい匂いがしていて、フウルは思わずボーッとなってしまった。なんだか体がふわふわして、腰から砕け、座り込んでしまいそうだ。
——ダメだ、しっかりしなきゃ!
ハッとして両手を握りしめる。
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