六 休暇

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六 休暇

 八月四日、水曜日、夕刻。 「昨日と今日か・・・」  信州信濃通信新聞社の社会部で飛田佐介が呟いた。佐介は田辺安文編集長が話す、死亡原因を探れ、との指示に、事件性があるのかと感じた。これでは、他殺か否か調べろというのと同じだ。  佐介は外を見た。  夕陽が西の山の端に隠れ、暑さが和らいだ。吹きおろす山風に、通りの欅が揺れている。毎年くりかえされる夏の午後の光景だ。  信州信濃通信新聞社は、長野市南長野幅下の長野県庁東通りを隔てた南県町にある。南側に二つ隣のビルは日報新聞長野支局だ。信州信濃通信新聞社のビルは日報新聞長野支局とくらべると貧弱だ。  そして事件がある度に顔を出している長野県警本部は長野県庁内にあり、目と鼻の先だ。
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