あなたの虜

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────「ん……」  柔らかい温もりに目が覚めた。  目の前にはかなり至近距離に土屋さんの姿があって、声にならない声を上げる。 「§*☆※~!?」  まだ状況が理解できない。  起きた瞬間に土屋さんとキスしてる。 「……起きた?」  やっとのことで唇が離れ、彼は苦笑した。 「ごめん。あんまりにも可愛かったから」  たちまち体温は上昇し、ゆうべの記憶がありありと蘇る。  土屋さんは既に身支度が整えられているけど、私はまだ裸のままだ。  それに、全身が倦怠感に襲われ、鈍い痛みを感じる。  肌にはいくつもの赤い痕ができていて、これら全てが昨晩一線を越えた証になった。 「………………」 「大丈夫? 辛くない?」 「はい……」  私の髪を撫で、うっとりとした視線で見つめる土屋さん。  なんだか昨日よりも増して、甘い雰囲気になった気がする。 「ああ……もっと一緒にいたい」  本音が漏れたようなトーンの呟きに、胸が高鳴る。  私もです。ドキドキして、そんな言葉がすぐに出てこない。 「名残惜しいけど、そろそろ出るね。お邪魔しました」 「え!? 待って! 朝ご飯は!?」 「ごめん。俺も今起きたとこで、作ってあげられなかった」  どこまでも私の方を気遣ってくれる土屋さんが愛しくて、私も名残惜しさが募る。  もう少しだけ、一緒にいたい。 「まだ時間ありますか? すぐ用意するんで」  そう言って立ち上がり、昨日脱いだ下着を探す。  そんな様子を真っ赤になってじっと見つめている彼に気づいて、恥ずかしさに背を向ける。 「み、見ないでください」 「ごめん」  そっと後ろから下着を差し出され、慌てて着ける私の後ろでホックを止めてくれた。  そして、背後から抱き締められる。 「……このままもう少し独り占めしたい」  首筋にキスされ、ぞくりと鳥肌がたった。  ……何、この溶けそうな雰囲気は。  まるで付き合いたてのカップルみたいじゃない?  付き合ったことないから、実際はわからないけど!
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