弁当

金曜日の昼休み。
今日の弁当は…ほう、餃子か。

餃子。
いやそれロールキャベツより珍しくないか？
俺の感覚が変なのか。

「沢山作ったから残ったやつを弁当にしてもらいました」

フロアが若干中華屋のにおいになっている。
くそう、今日は社食ではなく中華屋に行くか。
餃子定食。いいな。

俺はいつしか彼の弁当ウォッチャーとなってしまった。
他に弁当持参なのは若い女性くらいしかいない。
彼女たちはうちの息子が幼稚園の時に食べていたようなサイズを持って来る。
見栄か。
ダイエットしてますアピールか？
小食ですアピールか？

で、肝心の彼の弁当は…
ハンバーグ、ブロッコリー、ミニトマト。
昨日の夕飯は手作りハンバーグだったのか？
小さいのを作って弁当に入れるのは良くある話だな。
妻も息子の弁当によくやっていた。
まあ彼の場合はどうやらハンバーグのサイズは通常通りのようだ。

「塩谷課長」

「おお、すまんすまん。邪魔したな」

「いえ、いいんです。気になりますか」

「いやー、ついついどんなおかずか見たくなってしまって」

「いいですよ」

「いつもおかずが夕飯ぽいな」

「ええ……実は……」