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「その後、怪我の具合はどうだい?」
どうやらリュカ様は絶賛執務中のようで、机に向かいサラサラと筆を走らせながら私にそう訊ねる。
今日は創立記念祭初日。学園も休日だというのに王太子殿下は忙しないことこのうえない。
「おかげさまで歩けるようになりました」
鉢植え落下の件から一週間ほど経つが、幸い捻挫は軽く済んだようで、包帯もとれてすっかり元通りだ。
「アメリアが取り乱していたからどうしようかと思っていたけれど、大したことがなくてよかったよ」
フェルナンドから報告を受けたその足で私の寮へと見舞いに訪れたアメリア様は、足首の包帯を目にすると直ちに翌日から授業を欠席するよう手配した。平気だという私の訴えは「怪我の程度が問題ではありませんのよ?」という圧のある笑顔と共に却下された。
というわけで暫く寮で軟禁生活を送っていたのだけれど、怪我も完治したところで本日ようやくアメリア様から外出許可がおりたのだ。
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