ホットココア

　最悪だ。

　私、小島睦月は一向に減らない書類の山とパソコンの画面を交互に見て大きく溜息を吐いた。

　今日は定時で帰るぞ、と意気込んで朝から仕事に取り掛かるもその甲斐なく定時を過ぎて早一時間。定時三十分前に上司から急ぎの仕事を言い渡されてしまった。

「何で私も断らないかなぁ……」

　己の押しの弱さを嘆いても後の祭り。とにかく目の前の仕事を終わらせないと帰れない。そうは分かっているが、いざこの量を見てしまうと萎えてしまう。

「はぁ……」
　思わず机の僅かなスペースに突っ伏す。せっかく明日は土曜日だというのに。

「おい」