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『明後日、この家無くなるのか。』
和室の居間に入って、ぐるりと部屋を見まわしながら智紀が言う。
『やっぱり淋しい?』
『…別に。
新しい家、楽しみだし。
こんな古い家じゃ不便だし。』
大学で知り合った私達は6月に結婚する。
それに合わせて建て替えをする智紀の実家は明後日から解体が始まる。
不要な家具も家電も一緒に処分してくれる。
何もかもが古いこの家の中身はほとんど置いていくことになった。
先週まで住んでいた部屋のまま壊されるというのはどんな気持ちだろう。
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