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一晩目の夜。
妖狐たちの宴を抜け出し、野狐と白蛇は荒代と数匹の妖狐を連れて、国司の館付近に居を構える史生(ししょう)と呼ばれる下級生役人を殺した。
二晩目。
昨夜と同じ顔ぶれで、宴を抜け出してきた。
四等官(しとうかん)の目(さかん)を殺した。
三晩目。
同じ顔ぶれで、同じく四等官の掾(じょう)を殺した。
四晩目。
同じ顔ぶれで、同じく四等官の介(すけ)を殺した。
五晩目。
いよいよ国司の館に入り、下男を殺した。
六晩目。
次に国司の娘の侍女を殺した。
七晩目。
今晩は国司を殺す。
荒代と十匹の妖狐が国司の館の闇内に姿を潜め、他の妖狐は総出で館を取り囲んだ。
夜半を過ぎて、野狐と白蛇が忍び込む。
これだけ国司の周囲で人死にしているのに、館がやけに静かではないか?
警戒した野狐だったが、遅かった。
異変が起こった。妖したちが、館の闇内を移動できなくなっていた。黒染めの法衣を纏った僧が、野狐と白蛇の前に立ちはだかった。どこぞの高僧のようだ。
高僧の仲間が他に五人いた。館の庭で二人は囲まれていた。
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