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と民に揶揄されるほどの変わり身の早さだった、と時定が笑う。
「どうやら穂澄以外のここの僧どもは、帰依の心は持っていなかったようだな」
と時定が続ける。
「誰でもが穂澄のようにはなれないのさ」
お陰で神宮寺に僧は穂澄しかおらず、実質、廃寺寸前の現実を突きつけられている。
「どうやって寺を再建したらいいのか……」
穂澄は頭を抱えた。
「まず穂澄は肩の傷を治せ」
時定が坊舎まで、また肩を貸してくれて、しばらく穂澄は静養を余儀なくされた。
それからは二十日間ほど時定が、弱い狐火で穂澄の左肩に香気を注ぎ、癒してくれたので、すっかり腕が上がるようになった。
穂澄が負傷して昏睡しているあいだも、傷口を清潔にして綺麗な布で固定してくれていたのも、時定が自らやってくれていたのを知った。
温かい香気が左肩に注がれると、全身がぽかぽかして心地よくて眠くなってしまう。
日に日に回復してゆく穂澄を、柔らかい表情で時定が見守ってくれていた。
炊事僧は『権助』と呼ばれるが、その権助に化けた若い狐が、夕餉を持ってきてくれる。
膳を穂澄と、時定の前に出して
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