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クラブ発表会
「先生、もう行ってもいいですか?」
みずきはこれから始まるクラブ発表会の時間が迫っているのに、
担任の先生のオッケーがでないことに苛立っていた。
「何時からなら?」
「14時からですけど、音楽の先生が5分前には来るように言っていました。」
「まだおえん…。」
そう担任は言い、
どうでも良い話を生徒たちに話している。
「高畠もう行ってええぞ。」
担任がそう言ったのは、ちょうど14時になってから…。
みずきはあわてて席を立ち体育館へ走ったが、
舞台袖につくともう演奏は始まっていて、
音楽の教師は困った顔をしている。
「どうしたんで5分前には来るように言うとったじゃろ…。」
「じゃって、先生がまだ行ったらおえん言うたんじゃもん。」
みずきも困って、担任に言われたことを音楽の先生に伝えた。
みずきが舞台を見ると、音楽クラブの生徒が半分も来ていない。
小学校5年生の時
学習発表会で何が起こっていたのか?
教室を抜けて発表に向かうのはみずきしかいなかったことから、どうも音楽クラブだけ特別扱いされていると言う意見でも出て、
それに賛同する教師たちの嫌がらせに、生徒が利用されたのかもしれない。
想像するだけで足が震えてきそうだ。
そしてその年度末に、音楽の先生は音楽教師を育てる先生になりますと言い残し、小学校を去っていきました。
みずきは小さい頃からオルガンを弾くのが大好きで、
クラブ活動が始まった小学4年生では迷わず音楽クラブを選んだ。
5年生になってから、教室がたまたま音楽室の隣で休み時間にのぞくと誰もいず、
ピアノを習っている子と一緒に鍵盤にさわって遊んでいると、準備室から音楽の先生がでてきた。
生徒たちはビックリして、
ワーッ!といいながら教室から出ようとすると…
「えーよ、いつでも弾きにおいで。」と声をかけられた。
それから休み時間になると、みずきたちは度々2~3人で音楽室へ足を運び、音楽の先生とも仲良しになった。
なのに…
みずきは6年生でも当然音楽クラブを選んだ。
6年生のクラブ活動初日に音楽室に行こうとすると、
「みずきちゃん!私も音楽クラブじゃから一緒に行こう!」
と学級委員のじゅんちゃんが声をかけてきた。
「あれー?じゅんちゃん茶道クラブじゃったんじゃないん?」
「今年は音楽クラブにしたんよー。」
そ、し、て…
いざ音楽クラブに着いてみると、
6年生の女子の学級委員が全員音楽クラブに入っていました。
去年までみんな他のクラブに入っていたのに…。
その年の学習発表会では前年のようなハプニングは起こらず、
無事にクラブ発表も誰にも邪魔されず行うことができました。
もしかしたら、
「教師がテロなんて生徒をなんだと思ってるんだ!」と、
共感する保護者や賢い生徒たちは、学級委員(クラス委員長)が音楽クラブに入ればそんなことも起こらないと考えたのか…。
みずきは何十年もたってから、正面切っての抗議でなく静かな抗議としての正義だったのかもと、ふと思った…。
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あとがき
実際教師のテロかどうかはわからず、保護者や生徒の正義なのかどうかもわかりません。
幼稚な教師ばかりでなく生徒の事を思い、信念を持って悪事に参加しなかった教師もおり、また心ではやるべきでないと思いながら立場上仕方なく共謀した教師もあるでしょう。
ただ、昔々そういうことがあった、歪んだ事実があったということを、もう二度とおこらないように知ってほしいと…。
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