失踪した王女殿下

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 レナルドの言っている事をなかなか受け入れる事が出来ずにいた…………お母様は私を嫌っていたはずよ。それなのに私を置いていくのを嫌がったって…………頭が追い付かない。  そしてボルアネアとリンデンバーグの戦いの発端が、私とお母様の事だったなんて――  「戦いが始まって、お母様は目に見えてやつれていったわ…………陛下も私たち親子がいたから、大々的に攻め入る事が出来なかったのね……お母様は自分の為に民が犠牲になっている事に耐えられなかった、のかしら……」  「…………ベラトリクス様のお心は、私のような者には分かりません。でもきっとあなた様とお二人で我が国に帰りたかったはずです……」  「………………お母様……」  私はお母様に可愛がってもらった記憶がほとんどないわ……でもそれに何か理由があったのだとしたら、私はそれを知りたい。  「……この荷馬車はリンデンバーグへ向かっているのよね?」  
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