舞踏会に到着

2/5
前へ
/281ページ
次へ
 「テオ様………………」    エリーナに手を引かれて階段を下りて行くと、テオ様が気付いてこちらを見上げた。目を細めてこちらを見つめている…………大丈夫かしら…………ちゃんと満足していただけたかしら――――  舞踏会に出席するよりも緊張するかもしれない。旦那様に喜んでもらいたい――  最後の階段の数段前にテオ様が上ってきて、エリーナに代わって手を引いてくれる。スマートに引き寄せて、私の手の甲に口づけした。  「ロザリー………………美しすぎて上手く言葉が出て来ない。私がエスコートしてもよろしいのですか?」  「喜んで……テオ様もとても素敵ですわ。言葉にならないくらい…………」  「良かった。嬉しいよ…………では、行こうか」  「はい!」  私は笑顔で返事をして、馬車で王宮へと向かった。  王宮への道のりは3時間ほどかかったけど、道は整備されている街道だったので大きな揺れもなく、快適な馬車の旅だった。馬車の中では何度もテオ様が私の頬にキスをして、舞踏会に行きたくない、と呟いていた。  「テオ様ったら、そういうわけにはいきませんわ」
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1492人が本棚に入れています
本棚に追加