陛下への挨拶

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 「ロザリア……一人で抱え込まないでくれ。私たちは夫婦なのだから……君があの国の人間だったとしても、私はそれを一緒に背負っていく覚悟で君を妻にと望んだのだから。むしろ私にも背負わせてほしい」  「テオ様、あなたというお方は……私は甘やかされてばかりですね。そんなに甘やかしては我が儘になってしまいます」  「……もっと甘えてくれて構わないのだけどね」  そう言ってウィンクするテオ様を見て、私はつい声を出して笑ってしまった。そんな私たちのやり取りを見て、周りがザワザワしている事には全く気付いていなかった。    「あの冥王と呼ばれるお方が笑っている…………」「ウィンクされていたぞ……」「…………素敵……」  その日の舞踏会で、ベルンシュタット辺境伯が敵国から嫁いできた妻を溺愛している事が貴族中に知れ渡ったのだった。  
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